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ガバナンスとは? ガバナンスの目的と強化方法を分かりやすく解説

ガバナンスとは、組織が健全な運営を行うべく、自ら管理・統制することを指します。

近年はビジネスのグローバル化が進み、海外子会社やグループ会社を作るなど、国境を越えた事業展開を行っていく事例が増えています。国内外で異なる価値観や文化の差が、リスク要因となる可能性もあるでしょう。

海外のステークホルダーへの対応や、文化や価値観の異なる場所で適正な経営を行っていくためには、ガバナンス強化は必要不可欠といえます。

そこで、今回のコラムでは、なぜガバナンスが求められているのか。そして、その強化方法などを中心にご紹介します。ぜひご一読ください。

ガバナンスとは

「ガバナンス」とは、英語で「統治」や「管理」、「運営」を意味する言葉です。国家や地方自治体、企業などで管理体制を構築し、組織をまとめることを指します。

コーポレートガバナンス(企業統治)とは

企業のガバナンスのことを、「コーポレートガバナンス(企業統治)」と呼びます。

2021年に東京証券取引所が作成したコーポレートガバナンス・コードでは、コーポレートガバナンスは、「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義しています。

コーポレートガバナンス・コードとは

コーポレートガバナンス・コードとは、コーポレートガバナンスを実現するためのガイドラインを指します。

つまり企業が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うために参照すべき原則を取りまとめたものです。

ガバナンス強化を実施する際は、前提知識として理解しておきましょう。

原則1. 株主の権利・平等性の確保

上場企業は、すべての株主に対して平等性を確保し、株主が持っている権利を行使できるよう環境整備を行わなければなりません。

株主が持つ権利を自由に行使できなかったり、株主によって権利に差をつけたりすることはご法度です。

また、少数の株主や外国人の株主は平等性に課題や懸念が生じやすいため、企業は十分な配慮が必要です。

原則2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働

上場企業は、株主以外のさまざまなステークホルダーと協働するべきことを示した原則です。

ステークホルダーとは、社員や取引先、金融機関、各種団体など、株主以外のさまざまな利害関係者を指します。

企業の取締役会や経営陣は、それらステークホルダーの権利や立場を守り、適切に協働する必要があります。

原則3. 適切な情報開示と透明性の確保

上場企業は、企業の経営における状態や成績、戦略や課題など法令に基づく開示はもちろん、法令に基づく開示以外で提供すべき情報は企業が主体となって行うべきであるという原則です。

そして、それらの情報は提供される側が理解しやすく、有用性のあるものにする必要があります。

原則4. 取締役会等の責務

上場企業の取締役会は、企業の戦略や方向性、目標について示すこと、企業に潜むリスクに対しての対策やリスクテイクを支える環境を整備すること、客観的な立場から経営陣や取締役会に対して注意深く監督することを役割として定めた原則です。

取締役会は企業にとって有益な存在でなければならず、責務を適切に果たす必要があります。

また、企業の経営について客観的に監督するために、監査役会設置会社など外部の会社への依頼も検討するべきです。

社内の人間では気づけなかったことが明らかとなる可能性もあります。

原則5. 株主との対話

上場企業は、株主と株主総会以外の場であっても建設的な対話をすることで、株主の意見を聞き入れ、その意見については企業が理解したうえで適切な対応をすべきであるという原則です。

株主の意見が企業の成長や企業価値の向上に繋がることもあるため、株主との対話は非常に重要といえます。

ガバナンスと混同されやすい言葉とその違い

ガバナンスと似た意味合いで利用される言葉に「コンプライアンス」、「リスクマネジメント」、「内部統制」、「ガバメント」があります。

それぞれについてすこし触れてみましょう。

コンプライアンス

コンプライアンスとは、法令や、社内の規則、社会規範に従い行動することです。

一方、ガバナンスは、企業が自らを監視・統制する仕組みのことです。ガバナンスの強化は、結果としてコンプライアンスの強化につながるため、両者には強い因果関係がありますが、「従う」ことと、自らを「統治」することには明確な違いがあります。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、コンプライアンスと表裏一体の関係にあります。

与信管理を例にすると、取引先のリスクを精査し、適切な与信限度額を設定することがリスクマネジメントです。

しかし、適切な与信額を設定したとしても、それが遵守されなければ意味がありません。

取引先が反社でないかどうか確認することはリスクマネジメントであり、相手が反社であると知りながら付き合いを続けるのはコンプライアンス違反です。

内部統制

内部統制とガバナンスは、どちらも健全な企業経営を実現するためのものです。

しかし、それぞれ、その内容は異なります。内部統制は、企業の事業目的や経営目標を適正に達成するためのルールや仕組みを構築し、運用することです。

内部統制は、企業の事業目的や経営目標を適正に達成するためのルールや仕組みを構築し、運用することです。

ガバメント

ガバメントですが、これは日本語で「政治」や「政府」を表す言葉です。

政府などが上の立場から行う法的拘束力を持った統治システムであり、ガバナンスとは明確に異なる用語です。

なぜ、ガバナンスを強化する必要性があるのか

ガバナンスを強化するとさまざまなメリットを享受できます。具体的なメリットは以下となります。

  • 不正や情報漏えいを防止することで、株主などのステークホルダーの利益を守れます。
  • ガバナンス強化に積極的で、透明性が高いと評価されれば、優良企業として認知され企業価値が向上していきます。
  • 不適切な会計処理の温床となりうる業務プロセスの抜け穴を撤廃し、粉飾会計や不正会計といった内部不正を防止できます。
  • 社外取締役や監査役が、常に経営者を監視している状態を作り出すことで、企業の私物化や不正な利益を得ようと試みても、事前に防止することが可能です。
  • ガバナンスを強化することで企業の管理体制やまとまりができるため、企業の成長に繋がります。その結果、競争力向上や持続的な事業成長が見込めます。

ガバナンスが効いていないとどうなるか

ガバナンスが効いていないと、不正や不祥事を防止しにくくなるため、社会的信用を失うおそれがあります。

また、グローバル化が進む市場競争に打ち勝つためにも、ガバナンス強化は欠かせません。

下記に、ガバナンスが効いていないとどのような不正や不祥事が起こってしまうのかを紹介します。これらを参考に、自社に潜むリスクの対策を検討してみましょう。

リスクマネジメントとは

ガバナンスが効いていない企業は、手っ取り早く自社を成長させて企業規模の拡大や売上の向上を図るため、賄賂や独占禁止法、原料偽装などの不正を行うケースが多いです。

こうした不正は企業の社会的信用をなくし、大きな損害や倒産の危機をもたらすおそれがあります。

社員の不祥事が発生するリスク

ガバナンスが効いていない企業は内部統制が取れておらず、社員の管理ができていないため。社員がパワハラやセクハラ、情報漏洩などの不祥事を起こしてしまうリスクが高まります。

管理が行き届いていないところで一部の社員による不祥事が発生し、それが原因で自社に大きな経営的損失をもたらすケースも少なくありません。

不祥事の内容が情報漏洩の場合、自社の経営的損失のみでは済まないこともあります。

経営者の私利私欲が働くリスク

内部監査の実施や社外監査役などの設置ができていない企業では、労働基準法違反や経営者による企業の資産不正使用などが起こりやすいです。

とくに中小企業は経営者の監査ができていないケースが多く、経営者の私利私欲が働きやすくなります。

しかし、日本で優良企業とされてきた国内大企業においても、経営陣による不祥事が相次いでいます。

経営陣の私利私欲が働く状況は、経営陣への不信感を募らせた社員のモチベーションの低下や社員の退職を引き起こし、企業の崩壊に繋がるおそれがあります。

経営者が不正な保身を行うリスク

内部監査の実施や社外監査役などを設置できていないと、経営者が保身のために不正会計や粉飾決算などを行うリスクも高まります。

経営者の監査ができていない状態は、経営者による不正な保身が起こりやすいのです。

このように、経営者が保身のために行った不正会計や粉飾決算などは、投資者やステークホルダーに誤った意思決定をさせ、損失がなかったと認識されてしまうでしょう。

その結果、社員が問題を理解する機会がなくなり、損失の根本的な原因の解決や抜本的な体質の改善ができなくなってしまいます。

それは企業が再生するチャンスを失うことに繋がります。

企業の体裁のために不正を働くリスク

経営者や社員が企業の体裁のためにデータの改ざんや情報の隠蔽などの不正を働くリスクもあります。

「少しくらいデータを改ざんしたところでばれないだろう」「少しくらい情報を隠蔽したところでばれないだろう」と安易な考えで実行したとしてしても、不正は不正です。

それが企業の方針でも、不正を働いた場合、犯罪に関与してしまったことになります。

また、企業の経営陣のほとんどがグルとなって不正を行うケースもあり、社長の姿勢や企業風土に問題があることが多いです。

ガバナンスを強化する方法

ガバナンスを強化するには、以下ような方法があります。

企業の行動規範や倫理憲章の作成を行い、コンプライアンスを徹底する

企業のガバナンス強化には、法令等の順守が絶対条件となります。

法令等の遵守ができていなければガバナンス強化以前の問題であり、企業の存続も不可能となるでしょう。そして、コンプライアンスの徹底も不可欠です。

社員はもちろんのこと、取引先や消費者からの信用を獲得するためにも、情報管理のようなコンプライアンスは徹底しなければなりません。

企業の行動規範や倫理憲章の作成を行い、社員に周知して、企業全体で決定事項の遵守を徹底しましょう。

リスクマネジメントを行う

リスクマネジメントとは、企業にて起こりうるリスクを事前に把握し、そのリスクに対して適切に管理することです。

リスクマネジメントがきちんと実施されていれば、企業の不正や不祥事を防止しやすくなるほか、万が一事故が発生した場合でもすぐに対処できます。

まずは、企業の事業でどのようなリスクの要因があるのかを洗い出し、企業経営に大きな影響を及ぼすおそれがあるリスクを絞り込むことが必要です。そして、絞りこんだリスクに対する対応策を検討していきます。

リスクの対応方法には、大きく分けて、リスクが発生する確率を下げる対策を取る「リスクの低減」、特にリスクに対して対策を取らない「リスクの保有」、リスク発生の要因を取り除く「リスクの回避」、保険加入にてリスクを自社外へ移転する「リスクの移転」の4つがあります。

絞り込んだリスクごとに、最適な対応方法を決めておきましょう。

内部監査の実施

内部監査にて、企業の経営についてアドバイスや勧告を行いましょう。

内部監査機関は、公平な立場で、企業においてコンプライアンスの徹底やリスクマネジメントを適切に実施できているかを評価し、アドバイスを行います。

定期的に内部監査を実施することで、企業は常に次の内部監査へ向けてコンプライアンスやリスクマネジメントを見直せるため、ガバナンス強化に繋がります。

社外取締役や社外監査役の設置を行い、内部統制を図る

企業を成長させるために内部統制を図ることは最も重要です。

社外取締役や社外監査役などの設置を適切に行い、内部統制を図りましょう。

内部統制を適切に行うことで、社員全員がコンプライアンスを遵守したうえで業務に取り組んでいるかどうかを把握できます。

その他強化策

企業の透明性を担保するには、社長や経営陣に対して、第三者がかかわる環境を設定することが重要です。

経営を監督する取締役と業務を執行する執行役を分離した経営形態を持つ、指名委員会等設置会社に移行する企業の数も少しずつ増えています。

業務の責任と権限の明確化を行うことが重要となります。

加えて、投資家が経営の非効率な企業を買収し、ガバナンスを強化する方法もあります。

M&A後に、投資家や株主を重視する人物を経営者に置くことで、効率的な経営を実現できます。

一方で経営陣が、自社株式を買収するマネジメントバイアウトにより、所有と経営を一体化する場合もあります。

この場合、株主と経営陣が同一になり、株主の利益に反するような経営が行われるようなリスクはなくなりますが、企業の私物化など、別のリスクが生じる可能性があります。

複数の国や拠点で事業を展開する企業のガバナンス強化

複数の国や拠点で事業を展開する企業の場合は、業務の可視化と適切な管理を通じて、全社的に業務プロセスを統制していくことが必要です。

業務をデジタル化し、社内情報をデータで一元管理することも効果的です。

加えて、誰がどの情報にアクセスできるかを管理することもガバナンス強化には重要といえます。

特に、国内外の複数拠点のデータを連携させ、ガバナンスを強化し、効果を発揮するのが2層ERPの活用です。

次のセクションでは、複数の国や拠点で事業を展開する際の2層ERPの活用についてご紹介します。

2層ERPによるガバナンス強化とは

2層ERPとは、本社および主要拠点に大企業向けERPシステムをコアERP(1層)として導入し、中小規模拠点にはニーズや規模に応じて柔軟に対応ができるERP(2層)の活用です。

では、「2層ERP」を用いることで、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

経営データのリアルタイム化

各拠点で独立したERPを使うのではなく、コアERP(1層)と柔軟に対応できるERP(2層)を組み合わせ、各拠点では現地の商習慣などに合わせて運用ができます。

加えて、全社でのデータ連携を実現します。

各拠点に合ったコスト運用

中小規模拠点に、クラウド型のERPを活用することでサーバーを構築するためのハードウェア費用や維持管理のためのIT技術者の新規雇用が不要になります。

結果、費用を抑え、海外の政治状況やビジネス環境の変化に対して柔軟に対応ができます。

業務標準化にも対応

国内外の全拠点に同一のERPシステムを導入することで、データのフォーマットの統一、業務やデータの連係をスムーズに行うことで業務処理の効率化を図れます。

このように、ガバナンスを強化し、効率的な経営管理を実現するための手段としての2層ERPの利用は、世界で事業を行うグローバル企業のみならず、拠点・関連企業ごとにビジネスの性質が大きく企業などにとっても有効なアプローチといえます。

不確実性が高く、そして変化の激しい時代には、迅速な経営戦略や意思決定がますます求められ、企業成長に大きく影響を及ぼします。

2層ERPを活用することで、企業全体の状況をリアルタイムで把握でき、全社のガバナンス体制を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

企業の成長に、ガバナンスの強化は欠かせない要素です。

日本企業の事業拡大や成長のためにコーポレートガバナンス・コードが策定され、日本の経済界全体でガバナンスを強化する試みが進んでいます。そのため、ガバナンス強化を推進しない企業は、他の企業に遅れを取ることになりかねません。

また、企業の強固な管理体制を構築し、社内の不正や不祥事の防止を図ることも、ガバナンス強化の目的の1つです。

ガバナンスについて推進できていない企業は、コーポレートガバナンス・コードに沿って、企業統治を実行しましょう。

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