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デジタルトランスフォーメーションを活用した製造業の事例

ICTの進歩や人工知能(AI)などの先端技術の活用により、グローバルでの市場競争はますます激化しています。日本においては、少子高齢化による労働力減少や熟練工の不足という課題が深刻化しつつあります。デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)により製造業の生産性を向上させ、そして新たな付加価値を創出し、競争優位を獲得することが不可欠です。しかし、2018年に経産省が「DXレポート」で警鐘を鳴らしたように、日本はDX先進国とは言えない状況です。

今回のコラムでは、世界の製造業におけるDXの事例を紹介します。

品質管理にAIを活用

ドイツの大手自動車メーカーAUDI AGは、これまで目視と画像認識ソフトウェアで行っていた板金のひび割れ検査にAIを導入しました。人力の目視検査に大きな労力が発生するのはもちろん、画像ソフトの検査にも、部品の隙間に内視鏡を通す作業が必要でした。また、ソフトによる検査では、光の具合により誤判定が発生するという問題がありました。そこでAUDI AGは数百万枚にのぼるサンプル画像を収集し、微細なひび割れの差異を機械学習させ、ひび割れを正確に検知し、わずか数秒で検査を行うことができるシステムを開発しました。現在、同システムは、ドイツのインゴルシュタットにあるプレス工場で利用されています。

また同じくドイツの大手自動車メーカーBMW AGは、2020年5月、AIを塗装品質の向上に活用すると発表しました。塗装工場の空間内のダスト量が閾値を超えると、粒子が乾燥していない塗料に付着し、車体表面の美観が損なわれてしまうことがあります。同社ミュンヘン工場では、塗装を終えた車体の表面の検査を行い、検査結果をデータベース化しています。このデータと、リアルタイムでモニタリングされている工場内の空気のダスト含有量をAIで比較分析することで、粉塵フィルターを早めに交換するなどの対応を取り、粒子の付着を防いでいます。

BMW AGでは、板金にレーザー刻印を施し、製造工程を通して、車のどの箇所に、どの板金が使われたのかを追跡することが可能なシステムを導入しています。プレスを行う際の温度やスピード、厚さなどのデータが全て記録されるため、部品に何か異常が発生した際には、その原因を速やかに確認できるようになっています。

デジタルツインや3Dプリンティングで効率化と更なる付加価値の創出

デジタルツインとは、サイバー空間上に実際の製品や製造工程を再現したシステムを指します。

IoTが普及・進歩したことで、データを自動的かつリアルタイムで取得し、サイバー空間でのシミュレーションから現実世界における不具合の原因や、将来の故障や変化を予測することが可能です。つまり、デジタルツインを活用し、サイバー空間上で「設計自体に問題があった」あるいは「使用している原料に問題があった」といったことを把握することで、現実世界で試行錯誤を行うことなく、効率的に生産を行うことができるのです。

また、顧客のもとに製品が出荷された後でも、デジタルツインにその使用データが連携されることで、その使用データから各製品の摩耗状況などを把握し、予防的保全に活かすことが可能です。連携されたデータを分析し、故障が起こりそうな製品のみメンテナンスおよびパーツの交換を行うことで、メンテナンス費用や時間の削減にもつながります。そして、このようなデータから、製品のより効率的な利用方法について顧客にアドバイスする、という新たなビジネスも生まれています。例えば、独シーメンスでは、風力発電用のタービンの温度や回転速度などのデータからギアボックスの寿命を予測し、ダウンタイムの削減につなげるといった成果を挙げています。

またシーメンスの子会社、PLMソフトウェアでは、3Dプリンタを活用した設計・製造工程の最適化を進めています。試作品を3Dプリンタで作ることで、金型を何度も作成するコストを減らすことができます。また、複雑な形状でも再現できる3Dプリンタの強みを活かし、燃料ノズルやタービンといった複雑な製品に必要なパーツや部品の数を減らすことができます。

PLMソフトウェアでは、ガスタービン・エンジンの冷却通路の設計の見直しや、燃焼温度制御のシミュレーションなどにより、燃焼部の部品点数を13から1に減らし、同時に30%の生産速度の向上、50%の軽量化を達成しました。

最後に

スイスのビジネススクールIMD が発表する2020年版「世界競争力ランキング」で、日本は過去最低の34位となりした。同ランキングの公開が始まった1989年から92年までは1位にランクインをしておりましたが、90年代後半から凋落が続いています。

また、IDCが実施した国内企業のDX成熟度調査では、国内企業の約4割が、「個人依存→限定的導入→標準基盤化→定量的管理→継続的革新」の5段階中3番目(標準基盤化)の段階にあるという結果になりました。製造業においても、「生産性向上」と「高付加価値の製品・サービス提供」を実現し、スマート化がすすむ世界の潮流に伍していくため、DXの実現に向けた更なる取組が求められています。

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