
システムライフサイクルとは?
人の一生と同様、SAP ERPのような大型のシステムにもライフサイクルがあります。
今回のコラムでは、導入の検討を行う構想策定の段階から実際の運用・保守そして継続的な改善。そして、システムのライフサイクル管理に必要なポイントとSAPシステムのライフサイクルの特徴について解説します。
システムライフサイクルとは
システムライフサイクルとは、あるシステムが開発され、発展、普及し、やがて新システムの開発によって衰退あるいは代替される過程を表す言葉です。
もともと、人の一生をいくつかのフェーズに分けて捉える手法が、システムや製品の「一生」にも適用されました。基幹システムの寿命、つまり導入されてから別のシステムに置き換えられるまでの時間はだいたい14.6年といわれています。
システムライフサイクルにおける各フェーズ
システムライフサイクルには、大きく4つのフェーズがあります。それは、「構想策定」、「導入」、「運用・保守」、「改善」です。
最初のフェーズは構想策定です。ここでは、新システム開発・導入の企画が持ち上がる段階です。システム開発を発注する側は、どのような目的を実現したいか。どんな課題を解決したいのか、といった点を明確にします。そして、それを実現するためのシステム要件について検討し、開発会社に伝えます。複数社からの提案を受けるために、「提案依頼書」が作成され、開発会社による提案、コンペが行われることが一般的です。
開発会社が決まれば、システムの「導入(要件定義、システム開発、テスト/移行)」です。
システム開発後、全てのプログラムが正常に作動するかを確認するために複数のテストを行います。プログラム単体が正常に作動するかを確認する単体テスト。続いて、複数のプログラムを組み合わせて各機能が正常に作動するかを確認する結合テスト。最後に、全体が問題なく作動するかを確認するためのシステム総合テストです。
これらの試験を全ての動作確認が完了し、いよいよシステムの「運用・保守」に移ります。
システム稼働後、システムに求める要件が変われば、システムを「改善」します。大きな改善であれば、その際に改めて要件の定義や設計、テストが行われる場合もあります。また、システムの老朽化やあるいは自社のニーズに合ったより優れたシステムが開発されたというような場合は、既存のシステムを廃棄し、新しいシステムに乗り換え、新たなシステムライフサイクルがスタートします。
システムライフサイクルで意識すべきこと
システムの導入、特にSAP社の製品であるSAP S/4HANAといった新規導入の大規模プロジェクトにおいては、導入自体が目的化し、その後の成果について十分な検証が行われない事例が散見されます。システム導入は、あくまでも目的を実現するための環境がようやく整ったという意味であり、スタート地点です。例えばSAP ERPの導入であれば、業務プロセスの標準化や、経営情報の可視化。そして、それによるグローバル経営の実現といった目的があります。システム導入の成否は、その目的の達成度合いによって評価されなければなりません。
ビジネス環境や法規制が変化し、また自社の事業内容も変化する中で、システムを運用し、当初の目的を達成していくためには、運用・保守フェーズにおいても常にPDCAを回し、改善を続けていくことが非常に重要です。
同様に、企業の統合や買収によって、組織体制が大きく変われば、それに合わせてシステムを変更しなくてはなりません。
一度導入して、問題なく運用できているからといって、システムをそのままにしていてはいずれ陳腐化します。ビジネス環境は常に変化します。その変化を前提に、システムの継続的な改善を図り続けることが必要です。もし仮に、現行のシステムだけでは改善が難しい場合は、新システムへの切り替えも含めた柔軟な検討を行うことが、システムのライフサイクル管理にとって重要です。
SAPシステムにおけるライフサイクルの特徴
本社と海外拠点で導入し、運用されているSAPシステムにおいては、共通化、標準化による全体最適を目指しつつ、現地の商習慣や事業内容に合わせた対応も求められます。法改正のタイミングは、当然ながら国や地域によって異なります。SAPシステムのライフサイクル管理は、全体で統一すべき部分と、個別に対応すべき部分を見極めつつ、最適なシステム構成を検討し、ビジネス環境の変化に応じて改善を続けていくことが必要です。
またSAP社の製品を活用して事業の効率性を高めていくには、拠点ごとの展開、国内全拠点での展開、そしてグローバル展開といった段階に応じて、システムに求められる要件を検討し、運用の中で評価と行い、長期的な視点で改善を行うことが重要になるでしょう。
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