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ERPシステムのグローバル展開における 主な課題や導入時のポイントを解説

ERPシステムのグローバル展開においては、それぞれの国や地域の法規制、商習慣などの違いに対応していくことが求められます。

このようなグローバル市場特有の課題に対処しながら業務の全体最適を実現するためには、国や地域ごとの個別要件と全社標準化のバランスを図ることが重要です。

本記事では、グローバル展開におけるERPシステムの重要性やグローバル展開時のERPシステムの主な課題、重要なポイントについて解説します。

ぜひ、ご一読ください。

グローバル展開におけるERPシステムの重要性

企業がグローバル展開を行う際、異なる国や地域において、業務プロセスの統合や各国の法規制への対応など、グローバル市場や現地での特有の課題に対応していくことが求められます。そのため、海外拠点を含めたグループ全体で業務の効率化と最適化を図れるERPシステムの導入と運用が重要です。

ERPシステムで業務プロセスを統合する場合、各海外拠点間でデータを連携しながら、グループ全体で運用方法の標準化を推進していくことが求められるでしょう。

また、標準化を行う一方でそれぞれの国や地域の法規制などにも対応できるように、個別にカスタマイズできる部分を設けておくこともポイントです。

ERPシステムの基本機能

続いて、ERPシステムの基本機能とグローバルビジネスにおけるポイントについて、以下の機能ごとに解説します。

生産・在庫管理機能

生産・在庫管理機能は、商品の生産計画や原材料の仕入れ、工場の人員配置、倉庫の在庫などを管理するための機能です。

商品の生産時期や数量、必要な人員数、在庫の入出庫情報といったモノづくりに関する情報をまとめて管理できます。

グローバルビジネスにおいては、国や地域をまたぐ在庫の移動なども発生するため、在庫を他の地域に移動する際の価格管理を行えることが重要です。

販売管理機能

販売管理機能は、顧客から商品・サービスの注文を受けた際の一連の販売業務を管理するための機能です。たとえば、顧客からある商品を受注した際に、商品の品番や注文数などをERPシステムに入力して注文データの管理を行います。国や地域によって通貨が異なるため、多通貨換算を行える機能を備えたERPシステムが望ましいでしょう。

また、最新の為替レートだけでなく過去の為替レートもデータとして保持し、販売データを正確に管理することが必要です。

会計管理機能

会計管理機能は、企業の財務諸表の作成や経営データの可視化、会計レポートの作成などを行うための機能です。

売掛金や買掛金の管理もできるため、企業の会計全般の管理や財務状況の外部説明などに活用できます。

グローバルビジネスには、国内本社の会計データだけでなく、各海外拠点の会計データを含めた連結ベースでの会計情報が必要です。各海外拠点の売掛金や買掛金、請求データなどを本社側で適切に把握するためには、為替を考慮したうえで本社にデータを連結させる機能が求められます。

原価管理機能

原価管理機能は、企業活動において発生する人件費や原材料費などを管理するための機能です。原価管理は、商品・サービスの価格設定を適切に行い、企業の利益を確保するうえで欠かせません。

各海外拠点で原価計算の基準が異なる場合もあるため、それぞれの国や地域の通貨などに対応した原価計算を行える機能を備えていることが望ましいでしょう。

ERPシステムのグローバル展開における主な課題

ここでは、ERPシステムのグローバル展開における主な課題について、グローバル(日本の本社機能から見た海外拠点)から見た課題とローカル(現地法人あるいは拠点)から見た課題に分けてそれぞれ解説します。

グローバル(日本の本社機能から見た海外拠点)から見た課題

海外拠点を含めたグループ全体での経営状況を可視化したい

本社で行われる経営会議などの会議体での報告などをスムーズに行うには、海外拠点を含めたグループ全体で、経営状況や販売状況をすぐに確認できる環境が必要です。そのためには、各海外拠点の経営データや販売データをまとめて可視化できる仕組みが求められます。

グローバルビジネスにおいては日々の為替変動も売上や利益に影響するため、タイムリーに各拠点のデータを収集・可視化できるようにしておくことが大切です。

海外の異なる通貨も考慮してスムーズに決算を行いたい

異なる通貨や言語でビジネスを行う各海外拠点の決算データを収集し、為替などを加味しながらデータを加工するには相応の時間がかかります。

売上だけでなく、給与などの人件費や取引先との間の売掛金・買掛金なども集計する必要があるため、拠点が多い企業では決算スケジュールに追われるケースも少なくありません。このデータを収集し、加工する時間をできるだけ短縮することが求められます。

海外拠点のコンプライアンス状況を本社で確認しにくい

企業活動を継続していくうえでは、海外拠点を含めてグループ全体でコンプライアンスを徹底していくことが求められます。ただし、海外拠点の内部統制は容易ではなく、現地の事情も考慮しながら各拠点のコンプライアンスを強化することが必要です。

そのためには、海外の各拠点にあるシステムの監査ログなどをしっかりと取得/共有し、本社側でいつでも確認できる環境整備が重要です。

海外拠点へのERPシステム導入に時間やコストがかかる

各海外拠点のデータをリアルタイムに集約するためには、拠点間でスムーズにデータ連携を行える仕組みを整備することが必要です。

しかし海外展開時のERPシステム導入に潤沢な予算を割けない企業も多く、コストや期間の制約がある状況下でも効果的に整備できるERPシステムが求められます。

ローカル(現地法人あるいは拠点)から見た課題

国や地域を跨いだ情報共有が難しい

各海外拠点がもつ顧客データや販売データ、生産データなどは、拠点ごとに固有のシステムやExcelなどのツールで管理されているケースが少なくありません。その場合、各海外拠点のデータを本社に集約する際に、各拠点の担当者への確認やデータの収集、加工に時間がかかります。

グローバル規模で経営のスピードを上げるためには、データの収集や加工を迅速化し、スピーディーな意思決定を実現することが必要です。ERPシステムでデータを一元管理することが迅速な情報共有につながります。

それぞれの国や地域に応じた法規制への対応などが必要となる

多くの国や地域では、日本とは法制度や商習慣が異なります。そのため日本国内の法制度や商習慣だけに対応したERPシステムをそのままグローバルに展開していくことは難しいです。

法制度以外でも、通貨や言語、会計制度、税務報告書などさまざまな面で国や地域ごとに対応できるERPシステムが求められます。

海外拠点の追加や拡大に柔軟に対応できる仕組みが必要となる

事業拡大を目指して海外展開を行う場合、将来的に拠点の追加や拡大をしていくことになります。このような事業拡大をスムーズに行うためには、拠点の追加や拡大に柔軟に対応できるシステムが必要です。

将来的な海外拠点の追加や拡大をあらかじめ想定し、拡張性の高いERPシステムを選択することがポイントとなります。

ERPシステムのグローバル展開におけるポイント

ERPシステムをグローバルに展開していくうえでは、いくつかのポイントを押さえながら推進していくことが重要です。

詳細な要件定義と計画立案

ERPシステムのグローバル展開においては、それぞれの国や地域の法規制や商習慣、ビジネスプロセスなどの状況を理解し、それらに基づいて詳細な要件定義と計画を立てることがポイントとなります。

状況が異なる国や地域に、国内本社で導入と運用を行っているERPシステムをそのまま展開することは困難です。

各海外拠点の事情に応じてERPシステムをカスタマイズし、必要な導入期間を見積もって計画を立案することが求められます。

ビジネスや地域の状況に合わせたERPシステムの選択

ERPシステムを導入する際は、ビジネスの環境、それぞれの国/地域の状況に対応しやすいERPシステムを選択することがポイントです。

たとえば最近では、オンプレミス型ERPよりも、クラウド型ERPのほうがサーバーの容量拡張や運用が容易なため、多様な地域のニーズや拠点の拡大に対応しやすいと判断する企業が増えています。

ビジネスの状況に即した導入方法の選択

グローバル展開においては、計画時に想定していなかったリスクが生じることがあります。

たとえば、すべての海外拠点に一斉に導入を行うと思わぬシステムトラブルや業務に影響を引き起こすリスクがある場合、まずは一部の部門や地域に絞って段階的に導入していくことが有効な手段となるでしょう。一方、複数の拠点間で同時期から生産や在庫データの連携を始めたいなど、ビッグバン(一括導入)アプローチが適している場合もあります。

導入の方法は、ビジネスの状況に応じて判断することが重要です。

従業員のトレーニングとサポート

スムーズに運用を行うためには、従業員のトレーニングとサポートを充実させることも重要です。たとえばERPシステムの操作マニュアルや新しい運用ルールなどを制定し、社内で共有することが求められます。

その際、それぞれの国や地域の従業員が理解できるよう、多言語翻訳を行うこともポイントです。

適切な変更管理

ERPシステムの導入前後における業務ルールや運用方法、組織体制などの変更を適切に管理していくことも欠かせません。

新しい仕組みを導入する際は、現場の従業員からの反発も生じやすいため、導入前後の変化を丁寧に説明し、理解を促進していくことが大切です。

継続的なモニタリングと評価

ERPシステムは導入して終わりではなく、導入後も継続的なモニタリングと評価が必要です。導入後のシステムのパフォーマンスや業務上の課題などを定期的にモニタリングし、必要に応じて関係者間で改善策の検討/実施を行っていきましょう。

地域ごとのカスタマイズと標準化

地域ごとの個別要件と全社標準化のバランスを図ることは、大事なポイントです。

各拠点の事情に合わせてERPシステムをカスタマイズする必要はあるものの、拠点ごとにバラバラになりすぎるとグループ全体での業務効率化を妨げるおそれがあります。

そのため、必要に応じて地域ごとにカスタマイズを行いつつも、共通する部分は業務プロセスを標準化して全社最適化を目指すことが重要です。

グローバル展開において有効となる2層ERP

ERPシステムのグローバル展開においては、2層ERPを採用することが有効な手段となります。2層ERPとは、本社ではコアとなるERPシステムを利用しつつ、各海外拠点ではサブとなる別のERPシステムを導入する仕組みです。

コアERPとサブERPに別々の製品を選定することも可能で、各海外拠点の事業内容や商習慣に合ったERPシステムを導入することができます。また、2層ERPにはクラウド型ERPを用いるケースが多く、インフラ構築などの手間やコストをかけずにインターネット経由でスムーズに導入できます。

このコアERPとサブERPは、組み合わせて利用することでデータ連携が可能です。本社と各海外拠点との間でリアルタイムに情報を共有し、グループ全体のシステム統合を図ることができます。

グループ全体の情報共有や低コストでの導入を実現できることは、ERPシステムのグローバル展開を目指す企業にとっては有力な選択肢となるでしょう。

まとめ

ERPシステムのグローバル展開では、それぞれの国や地域の法規制や通貨、言語などの違いに対応していくことが必要です。海外拠点を含めたグループ全体での情報共有やコンプライアンスの徹底、経営状況の可視化を行うことが重要であり、そのためには、各拠点の事情を踏まえたうえで柔軟なカスタマイズができるERPシステムの導入が課題となります。

ERPシステムをグローバル展開する際は、各海外拠点で詳細な要件定義や計画立案を行い、それぞれの国や地域に合ったERPシステムを導入していくことがポイントです。また、導入後は従業員のトレーニングや変更管理、継続的なモニタリングと評価を行うことも欠かせません。

ERPシステムのグローバル展開においては、本社のコアERPシステムと各海外拠点のサブERPシステムからなる2層ERPを導入することが有効な手段です。2層ERPによって、地域ごとの個別要件と全社標準化のバランスを適切に保ちながら、グループ全体の情報共有や低コストでの導入を実現できるでしょう。

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